前職の総合商社時代から、今も含めて営業をやっていて、つくづく「営業」には正解が無いし、スタイルも十人十色だと感じます。
であるが故に、教育の場もほとんどなく、「とりあえずやってみろ」「場数をこなせ」と現場に放り出される場合が多いですよね。
良くも悪くも、営業は誰でも「何となくこなせる」からこそ、惰性で長く続けている人も多いのではないでしょうか。
でも、本来ならば意識的・戦略的に取り組む事で結果は桁外れに変わってくるはずです。
僕も多くの皆さんと同じように現場に放り出されて、とりあえず見よう見まねで営業に出ていました。
その中で自分なりのスタイルがようやく見えてきたので、今回は僕が営業の際に意識している7つのことを紹介します。
いずれも僕自身が自分の営業活動を通して学んだこと、そしてこれまでの“できる先輩・上司”の姿勢から気付いたことをまとめています。
- 営業でカバーすべき領域は「契約から入金まで」
- お客を選ぶことを恐れない
- 成約時に欲を出さない(後出しじゃんけんをしない)
- 新規で契約したければ、まずはGiverになれ
- 新入社員であっても事前に価格に関する権限をもらっておく
- 取引先の意思決定フローを知る
-
感情はロジックを上回るが、その逆はない
営業の人は目の前のお客さんに「自分にとっては御社が最重要顧客ですよ」と思わせる動き方が大事(実際はそうでなくてもね)
— イシコ (@newsalaryman_21) December 5, 2018
くれぐれも「あなたに対しては片手間でやってます」と思わせずに、サラリと期待に応えられるのが法人営業の腕の見せ所であり、醍醐味。
それでは一つずつ解説します。
目次
営業が仕事で意識するべき7つのこと
1. 営業でカバーすべき領域は「契約から入金まで」
入社3年目くらいの時に初めて一人で営業して新規契約を取ってきたとき、そこで仕事が完結したと思って、当時の先輩に報告したら「おめでとう。でもちゃんと入金まで確認してから喜べよ」と釘を刺されたました。
営業をやっていると「成約(注文)」がゴールになりがちです。
でも本来であれば最後の最後、つまり「お金が入ってくるまで」気を抜かずにフォローすべき。
もっと言えば、入金後、次の注文が来るまで(長期的関係を構築できるまで)が営業の仕事です。
もちろん、業種によってはお客さんとは一度きり関係のため、焼き畑農業的な仕事の進め方でも実績は残せると思いますが、リピーターになってもらうまで責任を持つのが営業の最大の目的であり、また醍醐味なはずです。
※余談ですが、新規成約時に価格や数量には敏感でも、意外と忘れがちなのが「決済条件」。
これも一度決めてしまうと、その後に変更する事は結構大変だったりするので、最初が肝心。営業マンであっても、資金繰りの鉄則として「回収は早く、支払いは遅く」は常に意識して交渉に挑むべしですね。これは商社でも口酸っぱく言われていました。
2. お客を選ぶことを恐れない
営業をやっていると、数字を取りたいがために、
数撃ちゃ当たる戦法で「お客様は神様」の気持ちで接する。
という人は意外と多いのではないでしょうか。
これは持論ですが、個人的にいつも意識しているのは以下の考え方です。
打席数(アポ数)よりも打率(成約率)を上げることを意識し、お客様は数あるお客様の1つなので、時には「お客様を選ぶ」ことも大事
これは僕自身の業界の特徴にも関係あるのかもしれないですが、
- お客様の数は限定的(B to Bでプレイヤー限られている)
- 狭い業界なので評判や噂が立ち易い
という特徴があるので、1つ1つの新規開拓はお客様選びから慎重にやっています。
但し、ファーストコンタクトは極力取るようにしており、門戸は常に開いておく状態にしています。
選別のタイミングは「会う or 会わない」ではなく、初対面後の「成約を目指す or 今は静観 (寝かす)or 脈無し(追わない)」の意思決定をする時がベストだと思います。
「追わない」と決めた時は、放っておけば良いので特に難しくないですが、前者2つの判断は非常に難しいです。
が、個人的には全てを追う事はせず、「成約を目指す」判断をした案件に全力を注ぐようにしています。
僕の場合は、何百もの成約が可能な業界ではないので、事前準備や交渉の進め方を考えるのに時間を割いています。
もちろん、「寝かす」と判断しても、定期的に情報発信やコンタクトを取ることを忘れないことも大事ですね。
寝かす際に一番大事なのは、そのお客様が何か困った際に「あ、そういえばあの時のイシコが助けてくれるかもだから声をかけてみよう」と思わせることです。
また、業界が狭いので、1つ1つの成約可否もさることながら、成約しなくてもその時の評判は業界に少しずつ広がって行くので気を付けています。
これはB to Bの業界の場合は、程度の差こそあれ、似ていると思うので、仮に結果的に成約しなくても次に繋がる種蒔きは意識すべきですね。
3. 成約時に欲を出さない(後出しじゃんけんをしない)
例えば、皆さんが車を買うとしましょう。
色々と下見をした結果、トヨタに決めて色々とディーラーとも詳細を詰めていよいよ契約。と、印鑑を持ってきた日に、突然担当者から、
「そういえば、実はこの成約価格には○○が含まれていないので、実際の金額は後△△円上乗せされます」
と言われたら、どうしますか?
そんな担当者は信用しないので、そんな成約したくないし、少なくともそんな担当者からは買いたくないですね。
実はこれは我々のビジネスの世界も一緒です。
「成約まで後一歩。これで決まる!」という時にこそ、人は本性が出やすいものです。
数年前に僕が成約した案件で、クロージングの直前に欲が出て、「注文を増やしてもらえない?」と(欲を出して)打診したところ、凄く嫌な顔をされ、そのまま破談になった苦い経験がありました。
いわゆる、「後出しじゃんけん」的な交渉の仕方はせっかくクロージングまでこぎつけていても信頼を失いかねないので、僕はオススメしません。
数量や価格といった、契約の最も重要事項については交渉の過程で必ずテーブルの上に出すこと(もしかしたら戦略的・意図的にクロージングまで出さない人もいるかもしれませんが)がお客様からの信頼に繋がるはずです。
4. 新規で契約したければ、まずはGiverになれ
新規開拓で初訪問となればきっと知りたい事は色々とあるはずですよね。
・年間使用数量?価格?
・現在の仕入先?
・今後の見通し?
しかし…逆の立場に立って考えてましょう。
余程自分たちが困ってない限り、情報をわざわざ話す事にメリットはありません。
普通、買い手は自社の事をペラペラ話すことが少ないので、上記の情報は推測の域を出ないまま交渉を進めることも少なくありません。
そんな時、個人的に意識しているのはとにかくGiverになることです。
僕がお客様より優位に立てる情報は惜しみなく出しています(もちろん、情報を出すタイミングは意識して見計らっていますが)。
B to Bの場合、会ってくれるということは少なくとも何か困っていたり、欲している情報があるはずです。
・原料価格が高騰している?
・一社購買だから、市況が分からない?
・競合他社の動向は?
・業界のトレンドは?海外のトレンドは?
この辺の状況を小出しに伝えながら、相手が困っている(気にかけている)点を引き出した上で、なぜ我々から買ったほうが良いのか説明し、自分たちの存在意義を理解してもらうことです。
この時のポイントが情報を取るのではなく、情報を発信しながら、相手の困っているポイントを引き出すこと。
理想は商談後に「〇〇についても調べてもらえないかな」など、相手から宿題をもらうことが、次への商談機会にもつながるし、相手の困ってるポイントに近づく一歩になりますので、意識すると良いと思います。
余談です。
「Giverになれ」と記載しましたが、これは営業に限らず、仕事をする上での必要なマインドセットです。
先日のツイートで「踏み台にする」という発言を取り上げましたが、「踏み台にする」というのはTakerの考えであり、その前に「ちゃんとGiverになれているのか?」と警鐘を鳴らしたかったので、発信したところ、多くの人に共感頂きました。
古い考え方と言われるかもしれないが、特に就活生の立場で「踏み台にする会社を見つける」という発言は好きになれない。
— イシコ @3/17出版『入社一年目からどう働くか』 (@newsalaryman_21) May 20, 2020
そんなのは心に秘めておくべきことであって、わざわざ口外すべきものじゃない。
5. 新入社員であっても事前に価格に関する権限をもらっておく
例えば、一台1000万円の機械を販売する会社に勤務しているとします。
交渉もいよいよ大詰め、そろそろ成約が迫ってきたと思って意気揚々と交渉にのぞんだところ、先方の担当者が一言…
「950万円なら買うよ」
値引きの是非はここでは議論しませんが、ここで一番最悪なのは「会社に戻って確認します」と発言することです。
これは新入社員だろうが、若手・中堅だろうが関係ありません。
お客様に信頼される最も効果的な方法の1つは
「貴方が自分の会社から信頼されている(任されている)」ことを示すこと
だからこそ「会社に戻って確認します」という寒い回答にならないために、事前に価格について決定権を持っていない場合は上司と確認をしておきましょう。
僕であれば
「1000万円の定価に対して、950万円までは受けてよいですか?恐らく値引きは避けられないから、980万円くらいを提示して、落としどころを950万円くらいに設定して、それ以下は受けません」
といったイメージで上司に了解を取り付けておきます。
そうすれば、交渉の場で新入社員だろうが「貴方が会社の代表として判断出来る」状況を作り出せます。
勿論、それでも想定外のことも起きるのがビジネスの場なので、どうしても判断がつかない場合は会社に持ち帰るしかないですよね。
それでも、出来る限りの了解を事前に取り付けておけば、大抵の事はその場で判断出来るようになるはずです。
営業の際に気をつけるべき5つのこと
— イシコ (@newsalaryman_21) July 20, 2018
①清潔感のある格好
②商談のゴールを明確にしておくこと
③事前に決裁権をもらってくること
④プランBとCまで想定しておくこと
⑤明るく笑顔で
ちなみに特にどれ大事かと聞かれた場合は、①と⑤だと答えてます。
これ、ホントです。
若手でも商談で信頼される2つの行動
— イシコ @3/17出版『入社一年目からどう働くか』 (@newsalaryman_21) July 2, 2018
✔︎結論を持ち越さない
→できる限り、決裁権をもらってくる
✔︎分かってるフリをしない
→分からなければ「すぐに確認します」と正直に伝え、帰社後すぐに確認して報告する
これ意識するだけでも相手の印象はかなり変わります。
6. 取引先の意思決定フローを知る
皆さんは、自分の取引先がどのような意思決定フローで物事が決められているか知っていますか?
- 最終意思決定者は誰か?
- 金額や案件によって決裁者は変わるのか?
- 意思決定は毎日なのか毎週なのか、その頻度は?
この辺の質問に対する回答が頭に入っていないと、営業としてはまだまだ改善の余地があると思っています。
そんな僕がこのポイントを知ったキッカケは、よくある会社の人事異動でした。
とある日、取引先の一社の担当者が交代となり、後任が困っている様子だったので「どうしました?」と伺うと、
「実はウチは社内稟議書の作成が大変でさ…着任早々どう書けば良いか困ってて」
※前任者は転勤で不在
と嘆いていたので、すかさず稟議書を作成のお手伝いを申し出ました。
そこで初めて取引先の稟議書をこっそり見せてもらいましたが、そこには意思決定フロー等、営業として知っておくべきエッセンスが詰まっていることを目の当たりにして驚いたのを今でも覚えています。
営業マンの心得
— イシコ (@newsalaryman_21) December 19, 2019
✔︎社内の稟議書を書けたら一人前
✔︎取引先の稟議書を一緒に書いてあげられたら一流
後者まで出来る人は、どの分野であっても強いよ。
今回はたまたま人事異動がキッカケで、この一社だけ稟議書作成までたどり着けましたが、自分の取引先との関係がここまでたどり着れば、営業マンとしては一流だと思っています(僕もここを目指して奮闘中)
7. 感情はロジックを上回るが、その逆はない
最後に一番大事な点です。
今でも多くの意思決定は人間が担当しており、その意思決定の際には必ずしもロジックが最優先される訳ではないとのいうことです。
1~6に述べたようなスキルを身に付けたとしても、そこに「想い」という感情がこもっていなければ、ただの小手先のスキルとなってしまいます。
「ビジネスの多くの意思決定の場面において、感情がロジックを上回ることはあっても、ロジックが感情を上回ることはない」
— イシコ @3/17出版『入社一年目からどう働くか』 (@newsalaryman_21) April 27, 2020
これが現実だったりするし、日本を代表する一流企業の方の発言だから、心に留めておきたい。
まとめ
僕が営業として意識している7つのポイントを紹介しましたので、簡単におさらいします。
- 営業でカバーすべき領域は「契約から入金まで」
- お客を選ぶことを恐れない
- 成約時に欲を出さない(後出しじゃんけんをしない)
- 新規で契約したければ、まずはGiverになれ
- 新入社員であっても事前に価格に関する権限をもらっておく
- 取引先の意思決定フローを知る
-
感情はロジックを上回るが、その逆はない
この7つをきちんとできれば、どこでも営業として通用する力があるということでもあります。
まずは自分の会社の売り上げに貢献することが営業としての大前提ですが、営業としての市場価値も高めておくことは必要です。
市場価値を高められれば、より年収の高いところへの転職や、転職しなくても今の会社でのプレゼンスを高められます。
自分の人生に転職というプランBを意識しておくことで、現職への好影響はたくさんあります。
営業としての価値を高めて、いつでも転職できる状態にして、転職エージェントへ「自分を営業」してみましょう。
なぜプランBを持つことが大切かはこちらの記事で解説していますので参考にしてください。

僕もまだまだ営業として成長できるように努力している段階ですが、この7つを意識するだけで、1段上の営業になれます。
ぜひこれらのコツを真似をしてみてください。
営業として価値を高めて転職の可能性を探ろう

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