プランBとは「代替案」という意味の言葉です。
キャリアにおいて良質なプランBを持つことはとても重要です。
プランBがあれば経済的・精神的な余裕が生まれ、プランAにも良い影響がでます。
プランBの重要性は別の記事で説明していますのでこちらを参照ください。

プランBの形は人によって異なり、「転職」や「英語」などのスキル・資格でもあり得ます。
中には自分が準備するべきプランBとは何か、どうやってプランBを考えれば良いかわからないという人もいるでしょう。
そこで様々な方に「あなたのプランB」は何かをお聞きし、皆さんの人生におけるプランBの考え方の参考にしてもらおうと思いました。
今回は、年収アップのための転職をサポートするWami Careerを運営されているWamiさんに「あなたのプランB」について書いていただきました。
皆さんがプランBを考える上でとても有益な情報ばかりなのでぜひ参考にしてください。
目次
1.Wamiさんのキャリア
はじめまして。Wamiと申します。
私は外資系金融機関時代、転職・海外勤務で年収を6倍にした経験をもとに2019年、年収アップの転職をサポートするWami Careerを立ち上げ、メンターとして様々な職種に就く方のサポートをしています。
転職は会社員にとっては身近なプランBです。メンターとして転職をお手伝いする仕事をしていることもあり、イシコさんのプランBという考え方にはとても共感しています。
会社員時代を振り返り、ライフステージの変化とともにどの様なプランBを持ってきたのかをお伝えすることで、今後同じ様な経験をする方のお役に立てれば嬉しいです。
2.WamiさんにとってのプランB
20代の頃のプランB
年収を6倍にしたと言うと、戦略的にキャリアを構築していたのかと思われがちですが、全く違います。20代中頃までは仕事よりもアフター5に夢中なお気楽なOLでした。そんな私がプランBの転職を考え始めたきっかけは、ライフスタイルを変えたいと思ったからです。
当時実家から往復2時間半かけて通勤していたので、長い通勤時間をどうにかしたいと思っていました。そのためには都内に引っ越す必要がある、一人暮らしをするなら年収を上げないきゃいけない、だったら外資系に転職しよう。そのための実績作りとして本業に真面目に取り組む様になったのです。
とはいえ、ただ目の前のことを一生懸命やっていただけです。与えられた仕事にはNOと言わずなんでもやりました。
外資系転職後のプランB
その後運良く外資系に転職することができ、このまま長く働くことができると思いきや、どうやらそうでもないということにすぐに気が付きました。
私がいた金融業界(特に外資系)は1つの会社に4~5年もいれば長いと言われような、転職が当たり前の業界です。日系に居た頃は、転職する人はそれ程多くありませんでしたが(終身雇用で長く勤める方もたくさんいました)、外資系では毎週の様に人が辞めていきます。
業績の悪化や海外拠点への業務委託による人員削減が頻繁に行われていました。グローバルで5%人員削減と聞けば、「この部門で5-6人が切られるのか」・・・とそわそわすることもしばしば。社内の別部門ではチーム毎いなくなってしまったこともあります。ローパフォーマーが切られるかと思いきや、そういう訳でもありませんでした。
また、政治的な理由から、ある日突然上司がいなくなり、業務を全く知らない外国人が上司になることもありました。
そのような環境で仕事をしていたことから、転職は常にプランBとして頭の中にありましたし、転職のために他社でも通用する人材になることは必然でした。
プランB実現のために意識していたことはメインとなる業務の知識・経験の習得は当然ですが、そこにプラスして新しい分野での実績作りです。
新しい分野というのは例えば、
- Aという業務を担当してるなら、Aの関連業務をやってみる
- Bという業務を担当しているなら、別の国のBの業務に関連することをやってみる
- 新いプロジェクトに手を挙げる
- マネジメント業務なら複数のチームや海外のチームを見る、マネージャーのマネージャーになるなど
特に人がやりたがらない仕事には積極的に手を挙げましたし、海外の仕事を取っていくことで、海外勤務のチャンスに恵まれました。そんな風に新しい分野での実績を増やしていくことで、掛け合わせるスキルが増え、いつの間にか年収が上がり、やがてたくさんのエージェントから声がかかるようになりました。
3. プランBを考える上で影響があったもの・人
人生のプランB
30歳を過ぎ転職先の外資系金融機関である程度成果を出せるようになると人生のプランBを考え始めます。結婚・出産です。
この頃ちょうど知人達が次から次へと結婚していきました。私も結婚したい想いはありましたが、心の中にあったのは「結婚したら私のキャリアが終わるんじゃないかしら?」という思い込みです。
そして結婚したらしたで子供を持つというプランBを持ち始めます。子供がいる生活ってどんなかしらと夢が膨らむ一方で、「長い産休を取得したら私のキャリア終わりだわ」と思っていたのです。
当時は長い産休を取得しない男性が羨ましいと思っていた程です。かといって、海外オフィスの同僚の様に出産後たった2ヶ月程で復職するのも違うかなと思っていました。仕事と結婚・出産育児を天秤にかけてはプランBに踏み出せないまま数年が経過しました。
結婚後の働き方
それから数年して結婚しましたが、実際結婚したところキャリアにインパクトはありませんでした。旧姓のままお仕事をしていましたし、びっくりする位何も変わりませんでした。
もちろんパートナーができたことで、独身時代のような働き方はしなくなり、そのことで多少フラストレーションを抱えたこともあります。本当はもっと仕事したいけれど、家に帰らないと・・・って。
独身時代は本当に仕事をしていましたから。ピーク時は月の残業が100時間、週末出社、アメリカ時間で仕事、旅先でもメールチェック、夜9時・10時からのカンファレンスコールなどなど。(今では信じられないことばかり)
けれど結婚を機に、そのような働き方は止め、そして、他社でも通用する人材でいようという考えではなく、働き方が変わっても必要とされる人材でいようと思うようになりました。出産後、時短勤務や定時退社という働き方を選んでも、会社に居て欲しいと思われる人です。
マネージャーになってからというもの、自分がいなくなっても仕事が回るチーム作りをずっと意識していましたが、この時程それを意識したことはありません。人が辞めない安定的なチーム作りをすることで、私がいなくても仕事が回るようにすることは、妊娠・出産を考えていた私にとっては優先事項だったのです。
結婚する前年に転職、それから2年後に産休を取得します。当初出産8ヶ月で復職の予定でしたが、赤ちゃんとの時間が楽しくて結局15ヶ月間お休みを取得しました。産休中に年収が上がり、お休みを取得してもちゃんと評価されるんだと安心したことも育休延長の後押しになりました。
そして復職後は以前と同じチームのマネージャーポジションで働き始めます。時短勤務、定時退社と働き方は緩やかになったものの、出産前のキャリアの貯金があったお陰で、復職後数ヶ月後には新しいチームを含め3つのチームを任されるようになりました。
「産休を取得しても私のキャリアは終わらなかった。むしろチャンスはいつだってあるんだわ!」長い間頭の中にあった思い込みがようやく晴れた瞬間です。
キャリアの貯金
私は社会人6年目でマネージャーになったのですが、比較的早いタイミングでマネジメントを経験することができたことは、その後のキャリアにとてもプラスになりました。私の場合、産休後もイチプレーヤーとして仕事をしていたらとても大変だったろうなと思います。
チームには「何か問題があれば連絡してね」と伝えて定時で帰ることができたのはマネージメントのポジションにいたからだと思います。実際、問題が発生し子供を寝かしつけながら対応したことは何度もありますが、定時で帰ることが優先事項だった私にとってはそれほど苦ではありませんでした。
マネジメント職を嫌がる女性もいますが、私はキャリアの貯金を増やしたい女性にこそマネジメントを経験してみることをお勧めします。
そして、これは働き方改革などで働き方がどんどん変わってきている時代では古い考え方かもしれませんし、私が独身時代に経験したような長時間勤務を推奨する訳ではありませんが、長いキャリアにおいてある一定期間、アクセル全開でとにかく量をこなしキャリアを進めておくこと、とことん踏ん張る時期が必要なのではないかと思います。
私の場合、あの頃の頑張りは大きなキャリアの貯金となり、働き方を変えた後はその貯金を少しずつ崩していくことで緩やかにキャリアをつくっていくことができたと思っています。
転職サポートでは、結婚後・出産後の働き方を心配する女性メンティーから度々相談を受けます。そのような時は「まだ起きてもいない心配をするのではなく、今キャリアのアクセルを目一杯踏んでキャリアの貯金をしてみてはどうですか?」とお伝えしています。
貯金は将来、働き方を変えたいと思った時にきっと役に立つはずです。
4. これから持っておきたいプランB
私は20代から「こんな生活をしたい!」と思うことがプランBになり、それを叶えるためにプランAを頑張るという生き方をしてきました。これは今後も変わることはありません。
今後のプランBは3つあります。
- 子供の成長とともに働き方を変えていくこと
- 二拠点生活の充実化
- 海外での生活
今はまだ子供中心の生活ですが、この先子供が成長していくことで私自身の働き方をどんどん変えていきたいと思っています。
2つ目3つ目は、子供がまだ小さい今だからこそ家族全員で経験できることです。具体的には二つ目の拠点・海外での滞在日数をそれぞれ増やしていく予定です。(コロナの影響で海外は暫く難しいかもしれませんが)
2つ目の拠点先は、今後週末だけ訪れる別荘から生活をする場所へと変えていきます。そしてなんらかの形で地域社会に貢献できるような活動しようと考えています。
最後に
ライフステージの変化をきっかけに、働き方やキャリアを見直す方からのご相談はとても多いです。
私のように出産を機に仕事を少しセーブしようと思う人もいれば、出産後キャリアアップを目指す方もいます。子育てとの両立を考え、在宅勤務やフレックスが可能な会社、残業が少ない仕事を選ぶ方も。プランBがなんであれ、それを選び実現できる自分であることがキャリアにおける成功だと思います。その実現のためプランAで何ができるかを是非考えてみてください。
最後に私が好きな1冊、働く女性の指南書でもある『Lean In』(シェリル・サンドバーグ著書)から1つのメッセージをお伝えします。過去の私にも伝えたいメッセージです。
Don’t Leave Before You Leave
辞めなければいけない時まで辞めないで
ある研究の調査結果によると、女性は無意識のうちに仕事か家庭かを選択するような環境ができてしまっています。子供が欲しいと考えている女性が結婚相手と巡り会うと新しいチャンスに手を挙げるのを止めてしまうのです。
だけど、子育てのために仕事をやめるのはその必要性ができた時。何も実際起きていない段階で頭の中で将来を考えてチャンスを逃すのはもったいない。仕事を始めるときから出口を探さないで。
5. まとめ
Wamiさんとは、2018年12月に最初にツイッターのDMでご連絡させて頂いたのが最初でした。
当時は、現在のワミキャリのβ版を立ち上げて間もない頃だったと記憶していますが、何か僕にもお手伝いできることがあればお声がけくださいとお伝えしました。
その流れでWamiさんのデュアルライフに僕自身が勝手に興味を持たせていただき、オンライン対談を実施する運びとなりました。(これが2019年1月のお話ですね)
今回の記事を拝読し、女性ならではの「出産」というイベントを迎えるにあたって、「キャリア貯金」という考え方は非常に納得のいくもので、これは女性に限らず、長いキャリアを考えると誰しも必要な考え方だと思います。
「長いキャリアにおいてある一定期間、アクセル全開でとにかく量をこなしキャリアを進めておくこと、とことん踏ん張る時期が必要」
キャリアを貯金しておくことで、少しレールから離れても、戻ってきやすい基礎を作っておくことは、これから多様な働き方が増えてくるであろう令和時代のキャリアには必須になってくると思います。
またWamiさんの場合は、旦那さんも独自のプランBを持っておられ、居住もプランBを持ち、子育て終了後のプランBも検討し始めるなど、常にプランBと隣り合わせに生活されていたからこそ、ここまで違和感なくプランBを持ち続けて実現できているんだと感じております。
これからは個人だけでなく、「家族でプランBを持つこと・話し合うこと」も当たり前の価値観となってくるのかもしれませんね。
そんな令和の最先端の家族の在り方を示してくださり、社会人として、また子を持つ親として大先輩であるWamiさんの「あなたのプランB」を僕自身も読むことができて、自分のキャリアを見つめ直す良い機会となりました。
この度は寄稿いただき、重ねてお礼申し上げます。
6. この記事を書いた人
Wami
アメリカの大学を卒業後、日系·外資系投資銀行に勤務し、4回の転職を経験。
年収アップのための転職をサポートするWami Careerを運営。
ツイッター:@Wami_career
7. あなたのプランB
この記事を読んでわかるように、成功している人の多くはプランBを常に考えて行動しています。
強力なプランBがあることでプランAはより輝きます。
副業(プランB)という副収入があるから本業(プランA)の選び方が変わる、転職の選択肢があるから本業でも挑戦できる、英語を勉強すれば仕事、生活の幅が広がる。
自分に最適なプランBを考えて、人生をより豊かにする生き方を見つけましょう。
「プランBのメリットとは何か?」「どうやってプランBを考えて良いかわからない」という人は、まず僕が説くプランBを読んでみてください。

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