プランBとは「代替案」という意味の言葉です。
キャリアにおいて良質なプランBを持つことはとても重要です。
プランBがあれば経済的・精神的な余裕が生まれ、プランAにも良い影響がでます。
プランBの重要性は別の記事で説明していますのでこちらを参照ください。
プランBのすゝめプランBの形は人によって異なり、「転職」や「英語」などのスキル・資格でもあり得ます。
中には自分が準備するべきプランBとは何か、どうやってプランBを考えれば良いかわからないという人もいるでしょう。
そこで様々な方に「あなたのプランB」は何かをお聞きし、皆さんの人生におけるプランBの考え方の参考にしてもらおうと思いました。
今回は、銀行辞めて田舎で複業を10個も行い、積極的に自身の経験を発信されているさかえるさんに「あなたのプランB」について書いていただきました。
皆さんがプランBを考える上でとても有益な情報ばかりなのでぜひ参考にしてください。
目次
1.さかえる【榮 大吾】さんのキャリア
政府系金融機関の日本政策投資銀行(DBJ)を退職し、高齢化率70%の田舎で収入源を10本以上持ちながら「百姓」として合わせ技で生きている31歳です。
銀行員時代と今の「百姓」の生活を比較するとこのようになります。
銀行員時代 | 田舎で「百姓」 | |
6:30 | 目覚ましで起床 | 鳥の声で起床 |
7:00 | 眠い目を擦りながら為替マーケットのチャートを確認。日経新聞や海外メディアに目を通す | 日経新聞と中国新聞に目を通しながら畑の草むしりと水やり |
9:00 | 出社。金融マーケットを確認して取引方針を打ち合わせる朝会 | 海辺でコーヒーを飲みつつ港に帰ってきた漁師さんの朝の釣果を聞く |
10:00 | 為替スワップで外貨の調達取引 インターバンクのコール取引など (営業部署時代は外回り) |
耕作放棄地の段々畑を地域の人と開拓
休憩時間に軽トラの上でパソコンを開いてメールの返信や事務作業 |
13:00 | 午後いちの取引を確認したあと別部署と行内規程についての打ち合わせ会議 | 県庁、町役場、民間企業の方と官民連携のテレビ会議 |
17:00 | 定時からデスクで面談メモの整理や資料づくりスタート | 日が落ちる前に急いで帰って畑の水やりと草むしり(ひじき漁がある日は就寝) |
20:00 | 終わらない残業 | 古民家から出た廃材や耕作放棄地から出た薪で焚き火をしながら貰い物のメバルやそら豆、芋などを焼いて食べる |
21:30 | 〃 | オンラインサロン「田舎チャレンジャーラボ」内でラジオ配信 |
22:30 | 〃 | ブログ執筆や動画ディレクション |
23:30 | 〃 | 作業→就寝 |
1:30 | 帰宅 | (ひじき漁があるシーズンは起床)漁へ |
比べると、生活が180度変わったのがよくわかります。
ここからはどうして自分のキャリアがこれほど大きく変わったのか、どんなプランがあったのか、説明していきます。
2.さかえる【榮 大吾】さんにとってのプランB
プランAが何だったか
勤めていた金融機関は、「半官半民」という珍しい立ち位置の銀行でした。危機の時こそ力を発揮し、雨の日にきちんと支援が必要な業界・企業に傘をさすこと、自分にしかできないことで国策的なプロジェクトに貢献することを目指していました。
官僚にもできず、純粋な民間企業にも難しいことが、一見中途半端な立ち位置の銀行だからこそできると思ったからです。銀行に6年半勤める中で、さらに思いは強くなり、そして今でもその思いは変わっていません。
また、それなりに安定した大手企業だったことや、憧れていた金融機関だったこともあり当初は銀行にずっと勤めるつもりで入行しました。年収も30代前半で1,000万円を超えますし、色々なスキルも手に入りますし、大きな不満もありませんでした。
それに対してプランBとして何をしてきたか
30代の気力体力溢れているうちに地域の現場に飛び込み、個人として「半官半民」でしかできないことを機動的に実践することです。加えて、「自分自身の生き方」も時代に合わせて変化できるよう、収入を細分化・複線化することを意識しています。
そのために、まずは自分の力で食べていけるように、固定費を極限まで下げ、収入が入ってくるルートを複数作るための「チャレンジ回数」をとにかく増やしていこうと思いました。何が当たるか全く分からない世の中ですから、転んでも起き続けられる状態をつくることを第一に考えています。
オフィス街でキャリアを積んでいると「年収(つまり売上)」ばかり考えて、自分の本当に実現させたい生き方に投資できる「利益(手取り)」や税引前の使えるお金、さらには「そもそも、どんな生き方をしたいか」ということについてはとても無頓着になってしまっていたなぁ、と思います。
今でこそ会社員時代の月収を超えることもありますが、脱サラ地方移住直後の収入は月15万円でした。
それでも経済的、精神的に東京で働いていたときよりも豊かだったなぁ、仮に年収を追わなくても好きなキャリアや夢の実現はできるのだなぁ、と実感しています。
お金がないと理想の生き方や暮らしが実現できない、チャレンジできない訳ではないことも、身をもって学びました。
また、移住した山口県の島は、
- 日本の中で最も高齢化が進んでいる「先進地」であり、そこに軸足を置くことで世界に先駆けてチャンスの訪れがくる可能性が高い
- 固定資産が余っているため固定費が究極に低い
- 既にチャレンジしている先輩方が数多くいらっしゃる
この3点から、新しいチャレンジを行うのに「もってこい」でした(温暖かつ妻の実家から近い瀬戸内海を軸に移住先を探し、移住候補地の人口動態は全て確認しました。)。
現在は、行政からの業務委託を受けつつ、官民連携案件の調整から集落のお困りごと解決まで幅広く対応しています。また個人事業主としても、ひじき漁や草刈りから財務・WEBコンサル、メディア運営まで、様々な収入源を確保しつつ「半官半民の個人事業主」として高齢化率70%の地域で新しい仕事をつくるべく、活動しています。
参考記事:2019年度さかえるのお仕事まとめ
プランBを考え始めたきっかけ
- 現場とは遠い環境でどうしても事例をまとめることや講演会を聞いて「やった気」「やったフリ」になっていると気づいたこと
- 銀行としては唯一無二の仕事をしている素晴らしい金融機関だったものの自分の代わりは銀行内にいくらでもいる、と感じてしまったこと
- 自然の中で遊ぶことが妻も自分も大好きだったため、将来的には田舎で暮らしたいと漠然と思うようになったこと
などから「自分のキャリア、人生、生活はこのままで良いのか…?」と自問自答し始めました。
1について
金融機関に勤めるうち、(特に、広島に転勤になった際)地方が抱える構造的な問題に関心が向くようになりました。
国全体でも「地方創生」が叫ばれる中、いろいろな取組や事例が取り上げられ、補助金が出され、レポートがまとめられ、講演が実施されました。
ですが、個人的にすごくもどかしさがありました。「仕組みを変える」「事例を横展開する」ばかり考えている自分が嫌になったのです。
2について
大きな組織の中にいると、関われる案件も大きいですが、周りには非常に優秀な同僚がたくさんいました。
中央にはわざわざ自分がやらなくても、他にできる人がたくさんいたのです。
隙を見せずに段取りをこなし、きちんと大きな案件をこなせることは、それほど自分自身の人生において大きなインパクトがあることではなくなっていきました。
3について
個人としての生き方も、中堅社員に足を踏み入れるタイミングと結婚が重なり、色々と考えを巡らせていました。
自分の理想のライフスタイル、働きかた、暮らしかたについて、とことん考えました。
人生は1回表から9回裏まで。下手すると延長戦まであるのが普通の世の中です。多くの人が5回裏のグラウンド整備以降のことを考えていない…。そんな話を聞いて、人生の後半戦も存分に楽しむための方法を探し始めたのです。
トータルで人生をよくするためには、それぞれ10万時間ある労働、余暇、老後のことをバランスよく真剣に考えなくては…と考えるようになりました。
延長戦まで戦い抜くために、生涯現役でいるために一番体力のある今、あたらしい生き方に挑戦し、小さくとも機動性と持続力のあるコミュニティで活動することにしたのです。
それによって何がどう変わったか
銀行時代のノウハウを活かしつつ地域の現場でビジネスを作る、仕事を作ることで、自分にしかできない社会貢献ができないかと考えるようになりました。社会貢献というと綺麗事に聞こえるかもしれませんが、私は結局自分自身が幸せになりたかったのかもしれません。
ハーバードの研究で幸せの用件は3つだけ、
- 自己成長
- 家族や友人との良好な関係
- 所属するコミュニティへの貢献
というものがあります。
生きていく以上幸せになりたい、生きた証を残したい、という究極のエゴです。
また、実際に地域に飛び込んでみたことで
「実はこれから大変なのは地方ではなく大都市である。これから若者は地方こそチャンス」
ということがデータでも、実体験としても把握できたことが人生において大きな収穫でした。
この図を見てわかるように、「全体の人口が減っている」のは明らかに地方ですが….
実は高齢者がこれから激増するのは大都市だけで、むしろ世界に先駆けて高齢化が進んだ地方は高齢者と「高齢者の成り手」が既に減り始めているところも多くあります。
財政を圧迫する大きな要因は年金・医療介護にかかるものですので、財政的に余裕が出た部分を新生児対策に回すなどの効果により田舎の出生率が改善し、新生児が増える、という循環が生まれつつあります。
事実、地域の現場に飛び込んでみると、人口100人程度の集落内に高校生以下の子どもが15人もいたり、積極的に活動する若者を地域を挙げて後押し、協力してくれるような動きがたくさんあり「1周回って田舎はやっぱり最先端」を実感する毎日です。
また田舎のおじいさん、おばあさんの元気さや生涯現役っぷりは凄まじいです。80代だろうが90代だろうが畑に出てバリバリ働く姿や、地域内での繋がりを大切にしながら笑顔で生きている姿を見ると「こういう歳の取り方をしたいな」と強く思います。「生き方の先生」がとにかく沢山いらっしゃいます。
プランAにどんな影響があったか
プランAで成し遂げたかった根本が変わったわけではありません。むしろ、プランBを実現する過程で、よりプランAで大切にしたかった価値観が確固たるものになっていきました。
自分は何のために生き、働き、動くのだろう、が明確になりました。
働く場所が違っても、取り組む内容が違っても、中途半端な立ち位置だからこそできる「その時その場所、そのコミュニティで必要とされること」に全身全霊で立ち向かうことが、プランAであり、プランBです。
3.プランBを考える上で影響があったもの・人
友人の死と、妻との結婚です。
脱サラして田舎へ行こうと思ったきっかけ
・友人の死
・人はいつ死ぬか分からない
・1度きりの人生今のままでいい?
・毎日、毎年同じことの繰り返し
・都会は自分の代わりで溢れてる
・誰かのためになることって何だ?
・都内で家を建てると、生涯年収のほとんどを「住むため」だけに使ってる pic.twitter.com/KVCvwQ9Hoe— さかえる🏝田舎に仕事がないはウソ (@sakaeruman) April 2, 2020
人って簡単に亡くなってしまうし、本当に生きたい人生、仮にお金に困らなくなったときに自分はどう生きるのだろう…を強く感じた出来事でした。また、妻との結婚を期に改めて自分自身の生き方と向き合うことになったため、その際にじっくり考え、話し合いました。
一度きりの人生、理想を追いながら生きていきたいものです。
4.さかえる【榮 大吾】さんがこれから持っておきたいプランB
既にプランAからは舵を切っていますが、個人としてできる地域社会への貢献をし、現場から、情熱一本で世の中を一歩前に進めるために活動していきます(具体的には、地域で複数の仕事をつくりコミュニティが自然に発展していく状況をつくること、です)。
SNSなどで個人が情報発信ができる「国民総コメンテーター時代」の希少人材は、「現場でやってみる」から逃げないDIY&BBQ型の仕事の進め方をする人材です。現在31歳なので、ひとまず体力の続く限り、ひたすらに情熱と気合で突き進んでいこうと思っています。
また、「プランB」は1つではありません。「100年スパンでの人口減少」という人類の未体験ゾーンに突入していくにあたり、生き残るためにはあらゆる選択ができる準備をしていなくてはならないと思っています。
私のプランBは「プランC〜プランZ」まで多様な仕事・生き方の選択肢を残しつつ、1本1本のプランを少しずつ骨太にしていくことです。
最後に、面白いグラフをご紹介して、私のプランBのご紹介を終わりにします。
鎌倉時代以前からの人口の超長期推移です。
いかに近代の人口増加がいびつであったかがお分かりいただけるかと。
そんな中、一周遅れのトップランナーである日本の田舎は、人口動態も、産業構成も日本全体の30年以上先を進んでいます。
実際に私も田舎に移住してみて、これからの世の中を生き抜くために大切なことをたくさん学んでいます。余白のある田舎は、最高にエキサイティングです。
ぜひ皆さんも日本の田舎の価値を再認識していただき、一緒に現場の最前線で汗を流し、生き方をDIYし、夜は焚き火と星空、虫の音に囲まれながら語らいませんか?お待ちしています!
参考記事:【テレワーク合宿/オフサイトミーティングにぴったり!】田舎の島でしか得られない経験をしませんか?
田舎には仕事がない?それ、ウソですよ。余白がある分、作り放題です。
田舎だとシゴトがない?
地方だと年収が低い?そんな声がツイッター上で聞こえてきます。うーん、もう完全に「会社からの収入」以外にもお金を作る方法があることがまったく理解できないようですね…。
昔の人は皆個人事業主。3つ4つ生業を持つのが当たり前だった。情けないよ現代人。
— さかえる🏝田舎に仕事がないはウソ (@sakaeruman) January 30, 2019
5.まとめ
実は、「あなたのプランB」を連載開始直後に、自己推薦・他者推薦で記事の執筆者を募集したのですが、一番最初にご連絡をくださったのが「さかえるさん」でした。(恥ずかしながら、それまでは存じ上げず…)
当時のDMの書き出しはこんな感じです。
イシコさん、はじめまして!
銀行を退職して瀬戸内海の高齢化率70%の地域で「百姓」をしているさかえるといいます。
収入の柱を複数持ち、バックアッププランを常に持ちながら長期的な目線で活動中です。
どうですか?
令和時代に自らを「百姓」と名乗り、プランBを常に持ち歩いている。
これだけで、即お願いすることに決めました笑。
日本政策投資銀行勤務という、超強力なプランAを持ちながら、そのプランを横に置き、プランB~プランZまでいくつもの顔を持ちながら活動する姿は、まさに僕のようなリーマンが参考にすべき姿勢だと痛感しております。
31歳にして、振れ幅が大きく、選択肢も多様(自ら開拓した結果だと思いますが)である、さかえるさんの生き方は、まさに令和の百姓の理想形だと思います。
田舎出身の僕自身も、いつかこのような居住地のプランBを実現させたいと思わずにはいられない記事を入稿いただき、重ねてお礼申し上げます。
今後とも日本を代表する百姓としてのご活躍を楽しみにしています!!笑
6.この記事を書いた人
さかえる【榮 大吾】
「面白そうな地域だな」「面白そうな奴だな」と思っていただけたら、ぜひTwitterなどでご連絡ください。
素敵なご縁があることを願っています。
Twitter:https://twitter.com/sakaeruman
自己紹介:https://sakaeruman.com/immigration/qa/
田舎暮らし、地方移住興味があるぞ、個人事業主として複数の柱、つくりたいぞ、な方は、
田舎で頑張る人、頑張りたい人の集まるオンライン村「田舎チャレンジャーラボ」の門もぜひ叩いてみてくださいね!
7. あなたのプランB
この記事を読んでわかるように、成功している人の多くはプランBを常に考えて行動しています。
強力なプランBがあることでプランAはより輝きます。
副業(プランB)という副収入があるから本業(プランA)の選び方が変わる、転職の選択肢があるから本業でも挑戦できる、英語を勉強すれば仕事、生活の幅が広がる。
自分に最適なプランBを考えて、人生をより豊かにする生き方を見つけましょう。
「プランBのメリットとは何か?」「どうやってプランBを考えて良いかわからない」という人は、まず僕が説くプランBを読んでみてください。
プランBのすゝめ
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