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【あなたのプランB】18. きなこ

きなこ

第18回の「あなたのプランB」、今回は、Twitterで英語の役立つ表現をツイートされている、英語で一歩踏み出す主婦こときなこさん (@Kinaco_Inu) に書いていただきました。

旧帝大を卒業し、公務員になるという一種の安定的な生活を送っていたにもかかわらず、カナダへの留学、そして副業としての英語コーチングまで始めるという挑戦的な人生を送るきなこさんのプランBです。

みなさん熟読必須の内容となっていますので、お楽しみください。

※今回から、特別企画で「社会人1年目の方へのメッセージ」というコラムも加わっておりますので、就活生の方や若手社員の方はぜひご一読くださいませ。

僕が提唱する「プランB」の大切さについてまだ記事を読んでいない人は、別の記事で説明していますのでこちらを参照ください。

プランBトップ プランBのすゝめ

プランBの形は人によって異なり、「転職」や「英語」などのスキル・資格でもあり得ます。

皆さんもぜひきなこさんの熱いメッセージを受け取って、明日からすぐに行動してみましょう。

1. きなこさんのキャリア

きなこ

はじめまして。きなこと申します。

私のキャリアは少し複雑です。


当時、国家公務員だった国立大学事務職員から始まり、社会人留学を経て外資系企業→地方公務員→国立大学研究員→準公務員(教育機関)と変貌を遂げました。

現在は、教員免許を生かした非常勤講師の仕事を模索しつつ、初心者〜中級者に特化した英語コーチングのサービス構築に奔走中です。

また、英語×キャリアのサービスも何らかの形で行いたく、より洗練した形を目指したい思いで起業スキルの勉強も始めました。

2. きなこさんにとってのプランB

公務員は一般的に転職市場において評価があまり高くない職種です。

そんな私の頭には、常に「プランB」がありました。

 

市場価値の高いスキルを持たない場合、今の職場以外でどうやって人生を切り開くか?という視点で読んでください。

 

特に女性の方に参考にしてもらえればと思っています。

 

1) 公務員が考えたプランB


公務員にとってのプランBは、初め少し困難が伴いました。

公務員は一般的に転職市場において評価が高くないのは事実ですから、苦悩も多くありました。

 

「公務員なら生涯安泰でしょ?プランBの必要なんてあるの?」

そう思う方もいらっしゃるでしょう。

 

国立大学で国際的な教育・研究の支援に強い興味を抱くようになっていた20代半ばの私は、ジェネラリストとしてしか業務に携われない状況に不満を持つようになりました。

 

国立大学に入職した当時は、人事異動が最大3年毎が平均と頻繁で、しかも本人の希望はあまり汲まれず、ランダムな形で人事配置が行われている状況でした。
(公務員でも「外交官」など、スペシャリスト志向の職種はあります。)

 

しかし、公務員は女性にとって働きやすい職場ではありました。
例えば、現在では下記のような制度が整っています。

  • 育児休業制度 最大三年
  • 配偶者の海外赴任に帯同するための休職制度 最大三年
  • 男女平等の人事制度

参考:女性にオススメの公務員の種類の記事

大企業でも、ここまで整っているところはなかなかないでしょう。この点では「もったいない」という気持ちもありました。

私は旧帝大を卒業し、優等生街道をずっとひた走ってきた人間でした。

レールの上に乗った安定した人生を送れることに魅力に感じ、「公務員」を選びました。


しかし、生涯の仕事として考えると・・・・

自分の心を殺したまま、生きていくことになるのでは?

こんな風に考えるようになりました。

 

「どうやったら、教育機関での勤務経験を生かしつつ、スペシャリストとして国際教育に携われるのだろう?」

 

これがプランBを考えるようになったきっかけです

 

当時、窓口での留学生対応で、英会話力に自信がなかった私は、まずは、英会話スクールに通学を始めました。

英語のスキルは汎用性が高いと思ったからです。

 

プランBの第一歩目はここでした。

現在の職務経験も強みになるようなスキルの掛け合わせを考えた結果のことです。

 

ところで、国立大学には、文部科学省に一年出向した後、アメリカで語学学校に通い、現地の大学で勤務できる二年の研修制度があります。

 

入職時からの希望がなかなか通らず、26の歳に、その研修制度に嫌悪する上司の下に配属されてしまった私はこう思いました。

 

「30歳までに結婚も視野に入れるなら、今、自分で未来を切り開くしかないんじゃないか。」

 

私は4年勤めた国立大学を退職し、当時5年付き合っていた彼氏に、「一年で帰ってくるから、待ってくれ」と約束をして、自費で留学する決意をしました

 

プランBに舵を切った瞬間です。

2) 市場価値が高いスキルを持たない人がプランBで気を付けるべきこと

市場価値の高いスキルを持たない場合、つい、市場での評価を気にしすぎて、常識の範囲でしか行動できなくなることがあります。

 

しかし私は自分自身の経験から、自分のやりたいことを突き詰めることが一番の近道になると思っています。

 

社会人から留学をして、実は後悔していることがあります。

私は国立大学職員の頃、英会話と並行して、日本語教師の資格を取得していました。
第二言語習得理論を極めてみたいと思う反面、20代後半の2,3年は大きく感じ、その後のキャリアや結婚が不安でした。

「ビジネスの専門学校なら、一年だけで帰国できるし、何をするにも潰しが効くし、役立つだろう。」

常識では考えられないスピードで世界は変化しています。

5年先に求められてるものなんて、今の誰にも予測することはできません。

 

それならば、当てにならない他人や世間の常識を理由に、次善の選択肢を選ぶより、とことん、やりたいことを突き詰める方が後悔につながりません。

 

今、40歳の私には、いまだ不完全燃焼の感覚が残っています。

人生において、いつでもやり直しは効くと思っていますが、若い頃よりも選択肢が狭まってくることは事実です。

 

自分軸で人生の選択をしましょう。

 

ただし、「プランB」の視点で見ると、「とことん振り切って失敗した先に何もない」というのは非常にまずいです。

プランBに舵を切る際は、延長上に、プランC(保険)も見据えておくことをお薦めします


私の場合は、前述のように、留学後就業した外資系企業でリーマンショックの結果、事務所閉鎖によって一年未満で失職し、玉砕しました。

 

当時、求人はほとんどなく、留学の結果、取得できたTOEIC985点の成功から一転、婚約者も自信も失った27の私はどん底まで心が落ちました。

 

落ち込み切った後、社会復帰の一歩として、プライドを捨てて、新卒の職場でパート社員になりました。

そして、28の時点で職務経験の中が一番長かった公務員を再度受験する選択をしました。

 

冷静に考えれば、他の選択肢があったかもしれませんが、史上最悪の不況下、プランCに踏み出せただけでも良かったと思います。

 

パート社員の自由な期間の間は、単発で何度か通訳の仕事を受ける機会もありました。
留学の途中で思い描いていた通訳という夢を叶えることもでき、自分の自信を取り戻し、自分を見直すいい機会になったと思います。

 

保険に正解はありません。

パートナーに一時的に頼るのか、自分自身の別の強みを切り出した他のキャリアなのか、それは分かりませんが、自分の手の中にある駒はきちんと把握することお薦めします

 

3) 30代半ば以降のプランB

 

30代半ばでプランBを考える場合、これまでの職務経験との重ね合わせし、希少価値を高めたり、その後、頓挫しても選択肢が狭ばらないようにするのは必須の考え方です。

 

地方公務員試験に合格した私は、結婚によって、再度プランBを考えるに至りました

 

やはり、英語や海外との接点がある仕事がしたい、という思いが再燃してきたのです。

 

夫というパートナーを得て、二人で生活を支えていけばよい状況に変化した30代の私は、また、挑戦がしたくなりました。

リーマンショックでの経験を生かし、プランCも思い描けるものは何かを真剣に考えました

 

教育機関での勤務経験や留学経験、キャリアに苦労した経験も生かせる仕事・・・

いつか、大学で教員のような立場で、留学支援やキャリア支援などもしてみたい。

一時避難的に大学の事務職をやるのも悪くはない。


しかし、まずは、年齢を重ねても、非常勤、正規で働ける教員免許格を取得したらどうだろう・・・

 

大学の教員ポストで必要になることが多い修士号はイギリスやアメリカの大学で、通信でも取得できるようだ。

中学校や高校の教員経験を積んだ後に取得すると、理論と経験がリンクして良さそうだ。

 

こんな風に真剣に考えた結果、33歳の私は、通信大学に入学し、まずは英語の教員免許を取得することにしました。

 

そして、転機は訪れました。

新卒で働いていた国立大学で「研究員」の公募をIndeedで見つけたのです。

 

TOEIC900点以上を有していれば、学士号でも挑戦できる「大学の教員ポスト」。

任期はあるものの、給与や待遇は正社員と変わりませんでした。

「国際労務」という、あまり見ない変わった分野。

この職務経験があれば、40代や50代でも、いつか夢を掴むことが可能かもしれない。

 

迷わず、プランBのチャンスを掴みに行きました。

 

4) プランBと英語力

私の場合、985点というTOEICの点数が何度も閉ざされかけた人生の突破口になりました。

世界はここだけが全てじゃない、何歳になっても切り開けるものだと強く信じています。

 

けれども、人は突然成功することはできません。


過去の積み重ねがあって、初めて血となり、肉となるもの。

しかし、地方公務員だった私が大学の教員ポストを得られたように、積み重ねた経験がスキルの掛け合わせにより、突然評価されることはあります。

 

私のように、秀でたスキルがない場合でも。

自分の強みをどのように掛け合わせて、魅せるのか。
それがプランBを考えるヒントです。

私の場合はTOEICが鍵となりました。
こんなこともありました。

イシコさんの記事「【コスパ最強】TOEIC900点を目指すべき理由と勉強法を解説」でも、このような事が書かれています。

「TOEIC900点はコスパ最強の錯覚資産で、本物の資産を手に入れる強力な武器になりうる」

プランBを考える上で、TOEIC、つまり英語力は重要なポイントだと経験から断言します。

 

その後、育休中に教員免許を無事取得し、40歳の今も、私の挑戦は続いています。

 

将来的に大学という組織で支援するか、私がサービスとして作り出すか、まだ見定まってない部分もありますが、キャリアと英語の架け橋になりたい、という軸にぶれはありません。

 

英語教育やキャリア教育を支援し、人生を切り開く人たちを応援する。

 

この方向で人生の後半戦も駆け抜けます!

3. プランBを考える上で影響があったもの・人

プランBを考える上で大きな影響があった本は「LIFE SHIFT--100年時代の人生戦略」です。

 

「キャリアは変化していくもの。掛け合わせていくもの。」という私の価値観をまさに形成してくれた本です。

 

産業構造が変わるペースが人類の歴史上、この上なく早い現在、人の寿命よりも企業の寿命の方が短い。

つまり、人が生涯のうちに職業を変化させることは、これから生き抜く上で必須である。

 

従来の「学生→働く→引退(老後)」の3ステージは崩壊を始めました。
時にキャリアと教育を行き来しながら、変化を続けるこれからのキャリアのあるべき姿が描かれている素晴らしい本です。

 

ただ、平均的な日本人にとって近未来の現実的な話をしているか?と問われると、少し疑問です。

 

日本の現実に落とし込んだ話を知りたい方は、『「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年雇用の現実的な雇用シフト』がおすすめです。

リクルートキャリアなどを経て雇用ジャーナリストとして多くの名著を出している海老原氏の本です。

オックスフォード大学の研究者が発表した「AIの進展で起きる雇用崩壊」は有名ですが、日本社会の現実に合わせた話が仔細に書かれており、自分事として落とし込んで読むことができます。

4. きなこさんがこれから持っておきたいプランB

現在、複業スタイルを目指している私にとって、実は、現在の手持ちの駒のどちらがプランAでBなのか、あまりボーダーがないのですが、組織に就業する形をプランAとするならば、下記のように分類します。

  • プランA:中学校・高校の非常勤英語講師
  • プランB:英語コーチングやキャリア関係のサービス起業

プランBに関しては、自分の時間をプランAとの兼ね合いで、家族との時間をどの程度確保するかが課題だと考えています。

プランBの第一歩として、2020年はコーチングモニター生を募集。

そして、2020年末に、Twitterの発信内容も含んだLINEスタンプを作成しました。

LIEN スタンプ

https://line.me/S/sticker/14033581

 

Twitter利用者以外の方にも、英語に親しんでいただければという思いで作成しました。
第二弾も今後考えていきたいと思っています!


しかし、成功の可能性は未知数です。

いつ頓挫しても、「雇用」の世界にも戻れるように、プランAで教員の経験を積んでいくことは非常に有用と考えます。

 

英語コーチングのサービスと英語教員の経験は直結するという利点もあります。

 

では、なぜ、いますぐ正規の教員をやらないのか?という疑問を持つかもしれません。

実は昨年3月に育児と仕事の両立に限界を感じ、正規職員(準公務員)の仕事を退職した経緯があります。

 

私達家族が、家庭生活を維持するに当たっては、非常勤講師がよりふさわしいと考えました。

残念ながら、コロナ禍で2020年度の非常勤講師の仕事は見送りましたが、2021年度、素晴らしいご縁があることを願っています。

 

いざとなれば、正規教員の採用試験を受験する覚悟はあります。

言うなれば、これが今の私のプランCです。

5. 社会人一年目の皆さんにメッセージ

仕事って、時に「無価値だな」、「無意味だな」と思えることがたくさんあります。

けれど、本人の予想しない形で、その地味な仕事が後々のキャリアに生きて来ることが本当にあります。

 

私が公務員だった時代、定型の事務作業に意味を見いだせないことがありました。

 

けれど、大学教員としてポストを得た時に面接官から英語力と同じ位に評価されたのは「一人で公的組織の事務を運営していた経験」でした。

 

事実、研究員として諸外国での組織立ち上げを経験した際、自分のそれまでのありとあらゆる経験や視点が生きることを実感し、感動を覚える毎日でした。

 

変化はしていかねばならない時代ですが、目の前のことを疎かには決してしないでください。

 

目の前の人間関係、目の前の地道な作業。

そんな当たり前のことを積み上げた先に見えてくるものが確かにあります。

 

私自身は凡庸で、歴代のプランBに掲載されている方々のように、華やかな職務経験やスキルはありません。

 

しかし、私のような凡人でも、時に家庭生活を優先するために、キャリアの上り下りを自由に行き来することが当たり前になってほしいと、心から願っています。

 

今回のインタビュー記事が、一つのモデルケースとして皆さんの心を灯すこと祈念しております。

6. まとめ

今回、「英語で挑戦する主婦」と名乗られるきなこさんの挑戦をSNSで拝見しており、僕から「あなたのプランB」への寄稿についてお声掛けさせていただき実現しました。

様々なご経験をされ、まさに紆余曲折合った中できなこさんの想いが僕にもグサッと刺さりました。。

時に家庭生活を優先するために、キャリアの上り下りを自由に行き来することが当たり前になってほしい

人生で優先順位はいつも同じとは限りません。

それが仕事であったり、家庭生活であったり、趣味であったり人生のステージによって常に変動していきます。

そんな中できなこさんがキャリアの上り下りを行き来しつつ、プランA、BそしてCまでをも可能にした理由の一つは「英語」であったことは本記事を読まれた皆さんも気付かれたと思います。

何か一つでも一点突破ができており、かつその分野が英語のように普遍的な場合、それを軸として様々なチャレンジができるんだと、きなこさんのこれまでのキャリアを読み進めて改めて感じました。

また僕も含め、これからキャリアを積み重ねていく我々にとってこの2つのメッセージを覚えておきたいと思います。

ここにきなこさんの実体験から来ているであろう強い想いを感じます。

世界はここだけが全てじゃない、何歳になっても切り開けるものだと強く信じています。

変化はしていかねばならない時代ですが、目の前のことを疎かには決してしないでください。

僕自身もこれから数年間はまさに「家庭優先」の生活が続きますが、この言葉を心に刻んで2021年も駆け抜けたいと思います。

この度は改めてご寄稿いただきお礼申し上げます。

いつかお会いできるのを楽しみにしております!

7. この記事を書いた人

きなこ

きなこ

国家公務員である国立大学事務職員から、社会人留学を経て、外資系企業、地方公務員、国立大学研究員、準公務員(教育機関)としてキャリアを積む。

現在は、教員免許を生かした非常勤講師の仕事を模索しつつ、初心者に特化した英語コーチングのサービスを構築。

8. あなたのプランB

この記事を読んでわかるように、成功している人の多くはプランBを常に考えて行動しています。

強力なプランBがあることでプランAはより輝きます。

副業(プランB)という副収入があるから本業(プランA)の選び方が変わる、転職の選択肢があるから本業でも挑戦できる、英語を勉強すれば仕事、生活の幅が広がる。

自分に最適なプランBを考えて、人生をより豊かにする生き方を見つけましょう。

「プランBのメリットとは何か?」「どうやってプランBを考えて良いかわからない」という人は、まず僕が説くプランBを読んでみてください。

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